JSAG講演会「ダボス会議報告と舞台裏」:世界経済フォーラム 高橋雅央氏
2月17日のJSAG総会に引き続き、世界経済フォーラムの高橋雅央氏による「ダボス会議報告と舞台裏」と題した講演が行われました。
初めに世界経済フォーラムの役割として「Public private
corporation を推進する国際機関で、一企業、一国家、一産業で解決しきれない課題を見える形にして前に進めていく。そのためにビジネスリーダーをはじめとしてシビルソサエティー、ヤンググローバルリーダーなどが一同に介する場を提供する事が我々の大きな役割です。」述べられました。
また、世界経済フォーラムが重要視しているグローバル課題へのアプローチの一つとしてシステム思考の重要性を強調され、特に現在の世界が経験している第四次産業革命におけるその必要性を述べられました。 高橋氏は第四次産業革命に関して「異なる技術が重なりあって新しいものが生み出される速度がどんどん加速しています。例えば3Dプリンティングとバイオロジーが組み合わされて人工臓器が作られるようになり、そしてそれは医療制度のあり方にも大きな影響を及ぼしていきます。」 と述べられ、技術革新によって非常に大きな社会システムに対する変化、挑戦が起こっていると語られました。そして、新しい技術に対峙するあり方として「多くの技術者はAIなどの新しい技術を生み出す際にそれがより広い社会に及ぼす影響はあまり考えません。しかし、これからの技術者を含む我々一人一人はそれがどのように幅広い社会の事象に影響を与えうるのか、システムという観点から物事を捉える必要性がある。」と強調され、これからの社会の仕組みにむけて技術革新を取り込んでゆく姿勢とその際に重要な点を述べられました。
ダボス会議でのMITメディアラボ伊藤穰一所長のセッション(Insightセッション)にも触れられ、伊藤所長が「技術革新によって人々はより多くの事を知る事ができるようになる。ただ知れば知るほど自分たちがあまりに知らないという事に気づく。また、技術革新によって自分たちが破壊する力、ものごとを変える力がどんどん大きくなる。だからこそ人間は極めて謙虚でいなければならない」と述べた事などをご紹介され、新しい技術の開発が社会に及ぼしうる危険性やそれを防ぐためのシステム思考の重要性が議論された事などをお話しされました。
講演の後半ではダボス会議での多くの写真を交え、実際に参加をしているようなイメージでダボス会議の一日の始まりから終わりまでをご紹介頂きました。
今年のダボス会議のテーマは「Responsive and responsible
leadership」で、約3000名が参加されたということです。 著名人による講演、パネルディスカッションに加え、少人数で議論ができる場や、新たなテクノロジーや難民キャンプに至るまでの様々な体験型セッション、自身を見つめ直すマインドフルネスのセッションなどといった多種多様なセッションをご紹介頂きました。「ダボス会議では参加者は火曜から金曜日、朝から晩まで、様々な観点からもっと世界をよりよくできないかを真剣勝負に議論し、そして世の中の課題がどう動いているのかをつかんで帰る。」という熱気の一端に触れさせて頂きました。
また、最後には「これからの技術のありかたがどのように世の中を変えていくのかをしっかり見ていく必要があると思います。また、そういうことが自分の関わっていることに意外と繋がっていたりもします。ぜひそういった視点を広げて見ていって頂ければと思います」と語られました。講演終了後はJSAG会員とともに活発な質疑応答が行われました。
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