JSAGセミナー: 日本の国際協力におけるマルチ・バイ連携の課題-南スーダン、TICAD、国際保健を例に考える-

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2018年11月15日(木)、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部において、外務省国際協力局参事官の紀谷昌彦(きやまさひこ)氏をお招きして「JSAGセミナー」が開催されました。

テーマは、「日本の国際協力におけるマルチ・バイ連携の課題-南スーダン、TICAD、国際保健を例に考える-」。(配布資料をこちらからご覧下さい。)

紀谷参事官は、外務省入省後、在米国大使館書記官、在バングラデシュ大使館参事官、総合外交政策局国際平和協力室長、同国連企画調整課長、防衛省地方協力局提供施設課長、在ベルギー大使館公使、駐南スーダン大使などを歴任され、現在、国際協力局参事官及びTICAD担当大使を務められています。国際協力に関して、政策・現場の両面で豊かな経験と見識をお持ちです。


講演では、グローバルな課題の解決に向けて日本の貢献を最大化するには「国際会議・機関への参画」と「現地での支援」の連携が有効であること。そして日本が主導・貢献する課題領域、いわば「ジャパン・アジェンダ」「日本ブランド」を特定し、東京と現地の双方でオールジャパン体制を構築して、取組みをスケールアップすることが、南スーダン、TICAD、国際保健に共通する方向性であることを具体例を挙げながら述べられました。

そして国際機関の邦人職員にとっても、「ジャパン・アジェンダ」は「使える」ツールであり、国際益と国益が重なる部分への投資は、国際機関邦人職員と日本政府職員の共同作業で加速できることが強調されました。邦人職員は、世界で活躍する日本人の「代表選手」、日本人にとっての誇りであり、日本人と国際機関、そしてグローバルな課題を結びつける「絆」としての活動に期待されていることが述べられました。さらに個々の組織では解決できない課題も、政府機関と複数の国際機関が連携し、さらには民間部門の参画などを通して、成果が達成され得ることが語られました。


質疑応答では、参加者から寄せられた質問に対して、日本の実務者と国際機関邦人職員との連携は日本と世界に付加価値を生み出すこと、「マルチ・バイの連携」が技術的な話ではなく、日本が世界で如何なる役割を果たすべきかという根本に関わる問題であること、そして日本が国際機関邦人職員、更には世界と切磋琢磨することに、日本の将来があるとの力強いお言葉をいただきました。

セミナーには、ジュネーブに本部を置く国際機関の職員をはじめ、大学・大学院などで学ぶ邦人学生など25名の参加があり、普段触れる機会のない貴重なお話を聴けてとても刺激的で勉強になったと、大変好評でした。

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