JSAG勉強会「国際機関幹部職員の仕事と必要とされる能力・資質」:WHO山本尚子事務局長補

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9月17日(火)にWHO会議室にて、WHOの山本尚子事務局長補をお招きして勉強会を開催しました。勉強会は国際機関の幹部職員の増強が課題となっている中、幹部職員の方はどのようなお仕事をされているのか、どのような一日を過ごしているのか、また、幹部職員に必要とされる能力や資質などについてお話を伺うという狙いのもと企画されました。


山本事務局長補は2017年に就任したWHOのテドロス事務局長の新体制の下、事務局長補としてご活躍されています。ジュネーブに赴任される前は厚生労働省の国際保健担当の大臣官房総括審議官(局長級)としてG7や国連総会、その他国際会議の場でもご活躍をされてきました。勉強会では冒頭に現在担当されているHealthier Populationsという部局の扱う内容についてご説明を頂き、テドロス事務局長による新体制の下、新しい部局を組織として整備していく過程の大変さについて具体的な例も交えてお話し頂きました。

次に日々の業務の内訳について以下のようにご説明を頂きました。現在のポストに就任されてから2年目になりますが、1年目はどうしても日々のメールのやり取りに半分ぐらいの時間が取られてしまったものの、次第に慣れてくるようになったとおっしゃっていたのが印象的でした。

  • 25%:組織の在り方や予算の配分などについて考えるシニアマネジメント業務
  • 25%:上記に基づいて組織として現場を動かせるようにするべく、スタッフと共有する業務
  • 20%:各国代表部や他の国際機関、NGO/CSOなどとのやり取りや資金集めを行う広報・渉外業務
  • 15%:国際会議への出席
  • 5%:職員の悩みや不満などについて相談を受ける業務
  • 5%:地域事務所や国事務所との連携業務
  • 5%:その他

その後、幹部職員に求められる力として、以下の四つを具体的なエピソードなども交えてご説明頂きました。

 1) ポジティブな思考に基づいて行動や発信する力
 2) 与えられた箱の中を綺麗に整備するのではなく、箱そのものを作り、かつそれを組織的に動かす仕組みを作る力
 3) 決定をする意思の力
 4) 相手の立場に立って、客観的に総合的に物事を見る力

また、若手職員に必要だと思う姿勢としては、ご自身の採用側としてのご経験等も踏まえて、以下を挙げられました。

 1) 採用のプロセスにあたっては、しっかりと準備をすること。特に求められているコンピテンシーについてエピソードを考えておくこと
 2) キャリアプランを立てるにあたっては最初から決めすぎてしまうのではなく、柔軟性をもたせること
 3) シャイになるのではなく、やりたいことを積極的にアピールすること
 4) 国際機関は日本の省庁などとは違ってキャリアプランを考えてくれないので、大変だが自分でキャリアをデザインしていくこと

最後の質疑応答では、国際機関と日本政府の利害のバランスをどう取っているか、最新の専門分野の情報にどうキャッチアップしているか、他の事務局長補やディレクターとのやり取りで気をつけていること、ご自身が国際機関の職員として足りないと思ったスキル、事務局長補の裁量についての説明と判断に迷った時の対処法、ディスカッションを促進するために心がけていること、これまでのキャリアの様々な段階でご担当されていたお仕事などについて、お話を頂きました。30名もの参加者が集まり、質疑応答も当初予定していた時間を超える、大変活発で有意義な勉強会となりました。



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