今日のキャリアパス
キャリアパスというのは個人的なものだから、十人十色である。とくに計画を立てず成り行きにまかせ、自分のキャリアを運に委ねるもの、反対に一歩ずつ順序立てて計画し、計画外の行動はとらいないタイプというように、道筋をどう作り上げていくかはそれぞれの選択にかかっている。大抵の人は上記両極端のモデルの中間をいき、おおざっぱにプランは立てていても、予定外の昇進や移動のチャンスに応じてパスを調整していくのではないだろうか。
キャリアパスや専門分野、職場環境が複雑化してきている今日、国際機関でも専門家として成果をあげ幹部まで昇進というケースは少なくなっている。国連の場合プログラム遂行に必要な仕事が多様化し、専門家であっても追加のスキルが求められる。例えば自然災害の専門家に、プロジェクトマネジメントや基金収集能力、広報のスキル等が重宝されるといった具合である。専門性のみならず可動性も多様化を求められており、単一の国際機関、同じ勤務地でのキャリア開発はむつかしくなってきている。
また、各機関ともグレード配分に中間レベルが多い平坦な階層構造になっている上、ポストごとの競争が激しさを増し昇進を伴うキャリアパスは厳しくなっているといえよう。一方、新規創立機関、正規予算外ポスト創設やそれに伴う離職率等からくる予定外の機会も存在しているわけで、キャリアパス調整はより頻繁になるだろう。
このようにキャリアの多様性、不確実性が高まる中で、変化に柔軟に対応し、自分でキャリアを開拓していくという資質がより求められているといえよう。それに必要な条件は、まずキャリアは自分で作るという責任意識を持つこと、自分の価値観、得意分野や仕事の好みを知ること、そしてそれを踏まえた目標をもつことであろう。
国際機関でのキャリア開発は、機関、上司、本人という3部構成になっている。組織のキャリア開発サポートと上司は重要な助けだ。機関のキャリアサポート以外にも自己投資や、外部とのネットワーク作りのための活動は積極的に実行すべきだろう。自分の市場価値を常に高めつつ周囲のサポートを利用して、目標実現にむけて柔軟にキャリアパスを形成していきたいものだ。
投稿者小島晶子、WIPO人材コンサルタント
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