「JSAG会員によるエッセイの紹介」ーあと14年で「世界から貧困を無くす」ために 國井修氏

JSAGでは、会員が執筆・編集等に関わった書籍、論文、ブログなどの紹介を行います。

今回は國井修氏(グローバルファンド、JSAG会長)が日経ビジネスオンラインによせたエッセイ『あと14年で「世界から貧困を無くす」ために』をご紹介します。
新たな2030年の国際社会の共通目標「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs)を達成するためには何が必要なのでしょうか。ぜひ以下のリンクから記事を御覧ください。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/222363/010600007/?P=1&rt=nocnt



また、JSAG会員の皆様で、JSAGのHP、メーリングリスト、FB等を通じて発信して欲しい情報などがありましたらぜひJSAG事務局までお知らせください。

WHO日本人職員に聞く、黄熱病の流行について


黄熱病が過去最大規模の流行に 

アンゴラで過去最大規模の黄熱病の流行が起きている。201512月に流行が始まってから黄熱病の発生は急激に増加し、現在までに800人以上の患者が確認され、10人に1人以上の割合で亡くなっている。黄熱病の流行は近隣国であるコンゴ民主主義共和国にも波及し、さらには中国でも10例以上の輸入例が確認された。

黄熱病は蚊によって媒介し、日本では野口英世が感染して亡くなった事でよく知られているように、昔から存在する病気である。すでに有効なワクチンも開発されている。

それにも関わらずなぜ大規模な流行が起き、現在どのような対策を行っているのか、世界保健機関で黄熱病の対策に携わっている西野恭平さんに話を聞いた。 

黄熱病はワクチンでコントロールが可能。あとは世界が一丸となって本気で取り組むかどうか。 

有効なワクチンがあるにも関わらずなぜ大規模な流行が起きたんでしょうか。 

アンゴラは黄熱病の流行地域とされていますが、1988年のアウトブレイク以降は1例も確認されていませんでした。そのような中、他の様々な感染症対策に重点がおかれ、ワクチンの普及率も十分ではなく、黄熱病に対する免疫を持っている人が国全体に少ない状態でした。さらには都市部での人口や人々の増加、温暖化による蚊の活動性の高まりなど様々な要因が重なり、今回の流行が起きたと考えられています。

WHOとしては、大規模なワクチン接種キャンペーンを行い、1600万人以上の人々にワクチン接種を行い、現在までにほぼ流行をコントロールすることができました。 

ワクチンの不足が起きていると聞きましたが、どのようにして確保したんですか。 
通常、緊急用のストックとして約600万本のワクチンが用意されていますが、今回の流行で大量に必要になったため、他の蔓延国で定期接種に使用される分のワクチンを優先的にアンゴラや近隣諸国で使用する事で対応しました。加えて専門家を交えてワクチンのデータを見なおしたところ、通常の5分の1の量でも通常量と同等の効果がある事を確認し、接種量を減らすことで対応をしています。
 流行が収まって来て、これからどのような対策が必要なのでしょうか。
 現在WHOでは長期的なグローバルストラテジーを作成している段階ですが、大きく分けて3つの対策が重要です。一つは先程お話したようにワクチンの普及率を上げて、それを維持すること。次に国際保健規則とよばれる国際的な感染症の流行を防ぐための取り決めに基づいた、世界的な伝播を防ぐための対策を強化することです。特に黄熱病を媒介可能な蚊が存在するアジア地域での流行が懸念されています。3つめは流行地域でのアウトブレイクに対するレスポンスを強化する事です。
 他には何か重要なことはありますか。
 特に重要なのは世界各国政府、専門機関などが一丸となって、持続的に対策を行っていくことです。WHOではこの点を特に重視し、今回の長期的なグローバルストラテジーを立案するにあたって多くのステークホルダーを巻き込み、WHOだけの戦略としてではなく、すべてのステークホルダーが一緒になって作り上げたまさに世界的な戦略を作る事を目標に現在取り組んでいます。黄熱病はすでに有効なワクチンがあり、人口の80%以上に接種すればコントロールできる事がわかっています。また、流行地域も一部の国に限られているので、他の多くの感染症と比べてもコントロールが可能な病気といえます。あとは世界各国がいかに本気で取り組むかにかかっていると思います。 

西野恭平(にしのきょうへい)世界保健機関 黄熱病(アルボウイルス)対策チ-
信州大学医学部卒業。国立国際医療研究センタで勤務後、アフガニスタン、ミャンマ-で活動。ロンドン大学衛生熱帯医学大学院修士号取得。



掲載されている見解は全て著者のものであり、特定の団体による見解を示すものではありません。

国際機関への就職についての説明会を開催しました

日本での就職活動と異なり、国際機関へはどのようにすれば就職できるのか分かりにくいのが実情です。そこで、国際機関への就職を視野に入れる日本人留学生に情報提供し、進路選択や就職活動を側面的に支援することを目的に、JSAGは在ジュネーブ国際機関日本政府代表部および日本人留学生有志の協力を得て、2016年11月25日にジュネーブのGraduate Instituteにて国際機関への就職についての説明会を開催しました。

ジュネーブで留学中の修士課程の学生を中心に23名が参加した説明会では、まず国際機関に正職員として採用されるまでのステップ、契約の種類等について概要をつかみました。続いて、国際機関への就職へのステップとなるインターンシップ、在外公館専門調査員制度、JPO派遣制度、そして国連事務局ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)について、担当者や経験者からお話いただきました。

職歴がなくても応募でき、かつ在外公館勤務を通じて国際的な経験が積める専門調査員の魅力や、現役の邦人国連職員に占めるJPO出身者割合が高いこと、そしてYPP試験受験のコツ等、留学を終えた先のキャリアを考える上で有益な情報が共有されました。


現在国際機関で働いているGraduate Instituteの卒業生と留学生との質疑応答セッションでは、卒業生から現役の留学生に対して、学生時代に取り組んでいてよかったこと、等のアドバイスがありました。異なるバックグランドの人たちと議論をすること、ネットワークを築くこと、そして語学の習得が役立ったそうです。


参加者からは、国際機関を通じて様々な問題の解決に寄与することへの強い意志が必要だと痛感した、国際機関で活躍している卒業生の話を聞いて自分も頑張ろうと思った、国際機関へ実際に入るために必要な情報を学んで役立った、等の声が寄せられました。
説明会の後に開催された懇親会では、現役の職員も多く参加しました。留学生にとって、国際機関での仕事の内容や、就職後のキャリアパス等様々な疑問点を職員に聞いてみたり、ネットワークを築く機会となったようです。

JSAGは今後も、国際機関を通じて様々な問題の解決に寄与することを希望する学生の方々に役立つよう、多くの国際機関の邦人職員の協力を得て、セミナーや情報提供等を、行いたいと思います。

国際開発ジャーナル誌2016年8月号 城取 美保さん (UNCTAD)

国際開発ジャーナル誌2016年8月号の「ジュネーブ便り」に掲載された、UNCTADで働く城取 美保さんの記事を転載いたしました。

国際開発ジャーナル誌2016年7月号 ペロナ 晶子さん (UNITAR)

国際開発ジャーナル誌2016年7月号の「ジュネーブ便り」に掲載された、UNITARで働くペロナ 晶子さんの記事を転載いたしました。

世界抗菌薬啓発週間 特別インタビュー:ケイジ・フクダWHO事務局長特別代表

 世界保健機関(WHO)は、2015年から11月の一週間を、世界抗菌薬啓発週間と定めています(2016年は14日~20日)。薬剤耐性菌が原因となり抗菌薬(抗生物質)の効果が失われ、疾病が長引いたり、死亡者が増すことが世界中の脅威となっている今、その拡大の抑制のために、政策立案者、医療従事者、農業従事者、そして一般市民の早急な対応が求められています。JSAGでは、世界抗菌薬啓発週間にあたり、WHOで本課題分野を統率するケイジフクダ事務局長特別代表にインタビューを行いました。



誰もが耐性菌を減らすために貢献できる

- 薬剤耐性菌の問題で人々に最も知ってもらいたい事はなんですか。

 一番知ってほしいことは、みなさん誰もが薬剤耐性菌を減らすために貢献ができるということです。例えば、病院を受診した際に、抗生剤が必要と判断されればもちろん使用するべきですが、抗生剤が必要でない場合もあります。ですから、むやみに抗生剤を要求するのではなく、医師に必要性について適切に判断してもらうことが重要です。また、家畜や養殖の魚の成長を促進するために抗生剤を使ってよいものか否か、現在大きな議論になっています。この点ではみなさん消費者が畜水産業界の抗生剤使用に与える影響は大きく、消費者がどのような食品を求めるかが耐性菌の増加も大きく左右するでしょう。さらに、 家畜への抗生剤使用がみなさんの健康に与える影響について認識することはとても重要です。これらが、耐性菌を減らすために誰もができる事だと思います。



家畜の成長促進のために大量の抗生剤が使用されている

-薬剤耐性菌を減らすためは何が変わらなければいけないでしょうか。特に重要な事を教えてください。

 いくつかの抜本的な変化が必要だと思います。まず一番大切な事は、人々が薬剤耐性菌の問題の重要性について気づくことです。この問題を聞いたこともないという人も多いと思います。何が問題なのか、なぜ問題なのか、人間社会にいかに脅威となるのか気づいていません。みなさんがすぐにできることとしては、薬剤耐性菌の問題についての皆の意識を高め、周囲の人々にも情報を伝えていくことです。

 薬剤耐性菌が社会に与える影響の例として、一番わかりやすいのは多くの人々の命が奪われてしまうことでしょう。病気の治療も難しくなります。これは経済成長にも大きな悪影響を与え、国によっては現在の経済成長が鈍化し、貧困状態に戻ってしまうほどかもしれません。また、人々にとって理解がしづらいかもしれませんが、家畜を育てるのにも抗生剤が必要です。病気になったら治療をする必要があります。つまり、有効な抗生剤を失うということは、持続的に食料を生産するすべを失うことも意味します。また、ぜひみなさんに知ってほしいのですが、現在家畜などのの成長を促進するために用いられる使用される抗生剤の量が、抗生剤が生産される量の大部分を占めています。さらに家畜を通じて大量の抗生剤が最終的には環境中に出てしまいます。環境中に出た抗生剤がどのような影響を持たらすのか、完全にはわかっていませんが、この現状は危惧すべきだと思います。


耐性菌は貧困国の開発にも多大な影響を及ぼす

 薬剤耐性菌が社会に影響を与える最後の例ですが、貧困国の開発状況を改善していくことは国際的な主要課題で、世界中が望んでいることです。世界の安定、公正、平等のためには不可欠です。しかし、先程までに述べたような耐性菌による死亡率の上昇、経済への悪影響、食料生産能力の低下などが、貧困国の発展を困難にします。ですから薬剤耐性菌は貧困国の開発にとっても脅威です。これらの事はほとんどの人がまだ知らない思います。まずみなさんが知る必要があります。薬剤耐性菌というとても大きい問題があるという事、その影響は計り知れないということ、そして世界中で耐性菌が増えているということを知る必要があります。

 その上で、耐性菌を実際に減らしていく上でとても困難なのが、幅広いセクターの協力体制を構築することです。耐性菌の問題は保健セクターや、農業セクターだけでは対応できません。それらのセクターに加えて開発、金融セクター、外務省の協力なども必要です。それらのセクターの十分な協力、協調体制をどのように構築するかはとても難しい課題です。これは必ずしなければいけませんが、とても困難です。これが耐性菌を減らすために必要な二つ目の条件です。

 第三に、耐性菌に関してわかっていない事がまだまだ多くあります。例えば、耐性菌が環境中に与える影響はよくわかっていません。どのようにして耐性菌が動物から人間に至るのか、正確な道筋もわかっていません。このように、解明しなければならない問題が山積しています。さらに重要なことですが、我々がどれだけ耐性菌を減らそうとしても、耐性菌の出現というのは細菌の遺伝子に組み込まれている自然現象であり、完全に防ぐことはできません。ですから、常に新しい技術、新しい抗生物質、診断方法、もしかしたら感染症を治療する新たな方法を開発していかなければなりません。現時点では、これらの開発を持続的に行うすべが確立していません。産業界とパプリックセクターが協力して模索していく必要があります。

 一方で、仮に新しい技術を開発したとしても先進国でしか使えなければ耐性菌を減らすことはできません。新しい技術へのアクセスは貧困国にとっては重要な課題です。途上国では、耐性菌が出現しているとわかっても、有効な抗生剤が手に入りません。既存の技術と新しい技術、両者へのアクセスを確立することが不可欠です。 これらの事が、次の数年間に直ちに行わなければならないことの中でも特に重要なものです。

日本に期待する貢献とは?

-日本に期待している貢献を教えてください

 世界的にみても最も困難な事の一つが、異なるセクター間の十分な協力体制を確立することです。例えばWHOは国際連合食糧農業機関や、国際獣疫事務局などの関係機関と緊密に協力をしています。国際的には異なるセクター間の協力の重要性がよく認識され、実現可能にするための努力がなされています。しかし、国内で実現するのはもっと難しいでしょう。保健セクター、農業分野セクター、その他のセクターなど、縦割りに分かれています。日本を含めすべての国々が、どのようにしてより協力できる体制を確立できるかを模索をしています。もし日本がこれを実現することができればアジアにとっても大きな貢献となるでしょう。


 次に、国際保健の最大の支援国の一つとして日本の資金面での協力は極めて重要です。日本自身にとっても、日本のリソースをいかに活用するか考えることは極めて重要でしょう。

 第三に、日本は技術面でとても優れているので、その技術を活用し、既存の問題を解決することができます。感染症の診断方法は先進国ではとても進歩していますが、途上国では困難です。先進国でさえ最新の診断方法は大きな施設に限られ、どこでも使用できるわけではありません。ですから、診断をより簡単に、正確に、安く、そして地方でもできるようにする。これらの技術的課題を日本の研究者や産業界が解決することができれば多大な貢献になるでしょう。


-日本の人々に対してメッセージをお願いします。

 耐性菌の問題には長期的に取り組まなければなりません。一朝一夕では解決はできません。耐性菌の出現は自然現象であり、ゼロにすることは不可能です。 しかし、もし均衡を保つことができるようになれば、耐性菌の分野、保健分野を越えて、他の多くの分野にとっても有益なものとなるでしょう。耐性菌を減らすために必要な事複数のセクターの協力、新しい技術を持続的に開発するためのシステム、またそれらに対するアクセスを確保することこれらを成し遂げることができれば、その知見を他の多くの国際問題に応用できます。 これらを達成するには時間がかかるかもしれません。しかし、我々は必ずできると確信しています。ですから、長期的かつ持続的な耐性菌との戦いに備えなければなりません。そしてこれは絶対に可能なことなのです。

インタビュー後に。聞き手:湊夕起(右)・濱田洋平(左)








国際機関を目指す留学生との懇親会のお知らせ

ジュネーブ在勤の国際機関邦人職員の皆様
  
ジュネーブとその近郊には、少なくとも3040人を超える日本人留学生や研究生が学んでいます。ジュネーブ国際機関日本人職員会(JSAG)は、今年度の活動目標の一つに「次代を担う日本人学生との交流・サポート」を掲げ、10月には彼らとの顔合わせ会を行いました。

彼らからは、国際機関への就職を目指すためにも、ぜひ最前線で活動する先輩方の生のお話しが聞きたいとの声があがりました。これをふまえ、JSAGでは、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部およびGraduate Institute日本人留学生有志のご協力を得て、日本人留学生等を対象に、国際機関への就職に関する説明会を開催することになりました。

説明会に引き続き、19時半より留学生とのJSAG会員との懇親会を下記のとおり開催し、職員に対して仕事内容や生活のことなどを自由に質問してもらえる機会を設けたいと考えています。

未来を担うグローバルな若者を育てるために、ぜひ、皆様のお力をお貸し下さい。
彼らの前向きで、エネルギッシュな姿勢は、私達にとっても良き刺激になることと思います。

お一人でも多くのご参加を、心よりお待ちいたしております。


                 記

1.日時
2016年11月25日(金) 19時半~21時頃まで

2.場所
Le Scandaleの地下スペース (Rue de Lausanne 24, 1201 Genève)

.参加費
懇親会で提供いたしますピザ等の軽食費として当日10フラン徴収いたします。なお、お飲み物や追加で注文されます食べ物等につきましては、各自ご清算下さい。

.参加申し込み
ご参加頂けます場合、恐れ入りますが11月18日()までに、お名前・所属先・肩書きを参加登録用サイトにてご登録いただけますようお願いします。