2025年7月23日 「グローバル勉強会」開催報告

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2025年7月23日(水曜日)、JSAGはニューヨークの国際機関日本人職員会と連携し、国連職員である「あなたは国連を通じて世界を変えられるのか」をテーマにグローバル勉強会を開催しました。JSAGからは星野俊也会長(国連システム合同監査団)が問題提起をし、ニューヨークの羽田鯉生会長(国連人権高等弁務官事務所)がそれにコメントをし、さらに世界各地の日本人職員会の皆さまとの間で質疑応答や意見交換が進み、チャタムハウス・ルールの下、活発な議論が行われました。

私たちの多くの職場である国連は、今日、おそらく創設以来最も劇的かつ急激な機構と活動の見直し、特に予算の大幅カットによる人員整理を含む組織の再編を余儀なくされています。そうしたなか、グテーレス事務総長は本年3月に「UN80イニシアティブ」として組織の効率化とマンデートの整理とプログラムのリアラインメントの3つを柱とする改革に大きく乗り出しました。「コンフィデンシャル」とされつつリークされた資料(“UN80 structural changes and programmatic realignment”)では、国連システム内の組織の合併や再編に関してタスクフォースが検討していると思われる提案の一端が見出されました。勉強会の直前には国連総会で本イニシアティブに関するロシア提案の決議がコンセンサスで採択され、「変化する世界にペースを合わせ、国連を強化する事務総長の努力を歓迎」するとのことですが、加盟国にもいろいろな意見があります。また、コストの高いニューヨークやジュネーブから世界の他の地域への活動拠点の移転や分散なども急速に動き始めました。

国連改革は、国連総会では「国連システムの強化(Strengthening of the United Nations system)」という議題で議論されます。ですが、この波乱の時期、国連職員の職場であるそれぞれの機関で進められる改革が性急で目先の結果ばかりを追いかけ、みせかけの取組に終始するようでは、国連をむしろ「弱体化」させ、職員の働き甲斐やウェルビーイングにも無用な影響を及ぼしかねません。私たち国際公務員は、国連機関が実施する活動や政策のプロとして、適切な改革を通じ、国連のそれぞれの機関が世界にとって不可欠なマンデートをしっかりと果たし、よりよい未来にバトンを渡せるか、しっかりと見極める必要があります。近年は日本の人々の間では国連への失望感は大きく、それ以前に全般的に内向きで、国際協力に後ろ向きとなっている国内事情もありますので、どうやって国連への適切な理解を深めるかも課題となっています。

勉強会への事前登録は世界各地から優に100名を超え、当日はさまざまなタイムゾーンの会員が80名以上参加するセッションとなりましたが、それはそれだけ各地で会員の皆さまが事態を深刻に受け止めていることの現れでもありますので、今後も情報交換や分析、提案などを続けていけたらと願っています。

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