オンラインマガジン「The Povertist」との連携を開始しました。

開発途上国の貧困問題に特化したオンラインマガジン「The Povertist」との連携を開始しました。The Povertistは世界中で活躍する専門家が、経済、社会保障、教育、保健など様々な分野から貧困を分析し議論する新しいメディアです。今後、共同企画としてグローバルな課題、トピックに関して国際機関職員の意見などを交えながら情報を発信していきます。ご期待ください。

JSAG


国際開発ジャーナル誌2016年5月号 茶谷和俊さん (ILO)

国際開発ジャーナル誌2016年5月号の「ジュネーブ便り」に掲載された、ILO本部で働く茶谷和俊さんの記事を転載いたしました。

国際開発ジャーナル誌の「ジュネーブ便り」

日本の国連加盟60年にあたる今年、国際開発ジャーナル社(https://www.idj.co.jp/)と協力し、同社の月刊情報誌「国際開発ジャーナル」にジュネーブ在勤の国際機関邦人職員による「ジュネーブ便り」連載企画を始めました。

同誌は1967年に創刊されて以来、約50年にわたって日本で国際開発に関する国内外の動きを伝えてきた、日本で唯一の国際協力専門誌です。

この誌上で、日本人職員から国連を志す若い読者層へのメッセージを送ります。「ジュネーブ便り」の掲載号発売から1ヶ月後を目処に、同欄をJSAGのホームページにも転載しますので、どうぞご期待下さい。

履歴書・カバーレターの書き方についてのセミナー

在ジュネーブ邦人職員会(JSAG)では、ILO人事局採用担当官の伊藤女史の協力を得て、日本人のインターン・短期契約職員・JPOを含む若手職員の方々を対象に、履歴書・カバーレターの書き方についてのセミナーを開催します。

国際機関でのキャリア形成には空席に応募することが常に求められるため、効果的な履歴書やカバーレターの書き方は重要なスキルとなっています。この機会に人事のプロからアドバイスを受けてみませんか?


1.日時
2016年6月16日(木) 10時半~12時
*10時20分にILO受付にご参集下さい

2.場所
ILOジュネーブ本部 会議室VI (R3階 南側)

.内容
- 参加者に事前提出して頂いたCV・カバーレターに関するコメント
- 効果的なCV・カバーレターの書き方

.講師紹介
ILO人事部 採用担当官 伊藤美保子
2004年にILO入職後、職員の採用やJPO・インターンシップ・プログラムを担当。現在は採用プロセス全般(書類審査・アセスメントセンター・面接)や望ましい職員数に満たない加盟国(日本もそのうちの一つ)からの職員を増やすためのアウトリーチ活動に従事。

5.参加条件
セミナーの効果を高めるため、国際機関の空席への応募を念頭に置いたCV・カバーレター(もしくは、実際過去に応募した際に提出したこれらの書類)を事前にご提出いただけること。

6.参加申し込み
6月13日(月)ジュネーブ時間正午までに、「616日セミナー参加申し込み」という件名のメールに下記3点の書類を添付し、jsagseminargmail.comまでご送付下さい。
・応募を考えている(もしくは過去に応募した)空席公告(VacancyAnnouncement
ILO Online Profile P-11等国際機関所定の様式による英文履歴書
・上記の空席に応募するための(もしく応募した際の)カバーレター
尚、英文履歴書等が手元にない場合には、ILOの現在、もしくは過去の空席公告
(https://erecruit.ilo.org/public/) の中から興味ある分野の空席公告を一つ選び、それに基づいて ILOOnline Profile を作成して下さい:
https://erecruit.ilo.org/public/hrd-vac-newuser.asp?apptype=1&jobinfo_uid_c=1&lng=
カバーレターは自由書式で結構です。

7.その他 
いかなる理由であれ、提出期限を過ぎてからの参加申し込みは受け付けることができませんのでご注意願います。上記6の提出書類が揃っていることを確認後、参加受付のメールをお送りします。
なお、ご提出頂きました書類等はセミナー終了後、破棄いたします。
参加費は無料ですが、本イベント参加にかかる交通費等は各自ご負担願います。

.お問い合わせ
本セミナーに関するご質問等はjsagseminargmail.comまでお送り下さい。

皆様のご参加をお待ちしております。

JSAGセミナー担当幹事

茶谷・美濃羽

第2回ジュネーブ・グローバル・ヘルス・フォーラムご報告

第2回GHF会合は、2016年4月14日(木)、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部にて行われました。

今年の日本で開催されたG7サミットの議題にも含まれ、世界の注目を集めたPublic health
emergency(公衆衛生上の緊急事態)をテーマに、次のような素晴らしい講師を招いて、活発な質疑応答・議論がなされました。

(1)「Ebola CrisisにおけるIFRCの対応と将来への準備
発表者:IFRC(国際赤十字・赤新月社連盟)会長特別顧問 田中康夫氏

(2)「将来のPublic health emergencyに対して今どのような努力が必要か」
発表者:WHOパンデミックおよび流行感染症部 調整官 進藤奈邦子氏

勉強会の後は、Cafe du Soleilでスイス料理を食べながら、懇親会を行い、熱い議論や楽しい交流を楽しみました。

【GHF発表概要】Ebola CrisisにおけるIFRCの対応と将来への準備


IFRC(国際赤十字・赤新月社連盟)会長特別顧問 田中康夫


1.はじめに
私は国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)で会長特別顧問として国際赤十字の政策・戦略の策定や人道外交面での会長[1]の業務を補佐する任務に6年前から携わっている。本年2月に会長に同行してエボラの感染が流行したシェラレオネとギニアを訪問したので、これらの国々におけるIFRCのエボラ対応と今後の課題について報告したい。

エボラ・ウィルスは、1976年にコンゴ民主共和国(旧ザイール)で初めて確認され、当時318人が感染し、致死率は88%に及んだ。2014年の西アフリカ・エボラ出血熱の流行は、2013年にギニアで二歳児が感染したことに始まり、2014年の3月にギニアとリベリアで、5月にはシェラレオネでエボラの発生が報告された。最も感染が流行したこれら3ヵ国での感染者数と死亡者は、それぞれ計28,646件(2016331日)と計11,323人(同上)となっている。世界保健機関(WHO)は本年3月に国際保健規則(IHR)緊急委員会を開き、一昨年8月に出した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を解除した。しかしながら、過去3ヵ月間にエボラの再発生がそれぞれの国で確認されているため、引き続いての監視体制とcommunity health systemの堅持・強化が重要な鍵となっている。


2IFRCのエボラ対応
エボラの感染を抑えるうえで、地域住民との信頼や連携に根ざしたpublic health approachが優先課題であった。
IFRCは、20151月にEbola Strategic Frameworkを策定し、地域住民の教育、感染者の隔離、感染者と接触した人の追跡・モニタリング、エボラ死亡者の安全で尊厳ある埋葬を軸とした以下の5つの活動を展開した。

   Community engagement and beneficiary communication3ヵ国で830万人を対象)
地域住民の間では、「病院に行くとエボラを注射されたり、臓器売買のために手術される」などのデマが飛び交い、それを信じた感染者の家族が病院に押しかけるなど、初期の段階では住民のエボラに関する知識不足や不信が感染の拡大に拍車をかけた。そのため、地域の長老や宗教指導者を訪ね、エボラについての正しい知識の普及に努めたり、住民調査(KAP survey)を行なった。調査の結果、感染者との接触で感染するという知識を持っている人は20%に止まり、また、情報伝達手段としてラジオが効果的であることが分かった。


   Tracing and monitoring service3ヵ国で97,000人を対象)
感染者と接触があった人(疑を含む)を特定し、その後3週間にわたって感染兆候の有無、体温測定、筋肉痛、頭痛、のどの痛み、吐き気、下痢などの症状の有無を確認した。


   Clinical case management / Ebola treatment centres1,475人の入院患者を治療)
シェラレオネ(IFRC所管)とギニア(フランス赤十字所管)でそれぞれ2ヵ所の緊急仮設病院を開設し(シェラレオネでは100床と40床)、感染者の治療を行なった。ノルウェー、スペイン、カナダ、オーストラリアなど13ヵ国の赤十字社から常時30人ほどの医療要員が勤務した。残念ながら、これらの仮設病院に勤務するスタッフのうち、4人(車の運転手)がエボラに感染して死亡した。


   Safe and dignified burials 3ヵ国で57,000人の遺体を安全かつ尊厳をもって埋葬)
西アフリカの国々では亡くなった人の遺体を遺族が直接手で洗う風習があり、そのことが感染拡大の最大要因の一つとなった。そのため、遺体を安全に、かつ文化的風習を最大限に取り入れながら埋葬する活動を展開(シェラレオネでは全国の50%、ギニアでは100%)した。遺族の中にはそうした活動を拒絶する人が多くいたため、IFRCのチームの中にはbeneficiary communicatorがおり、なぜ遺体をそのように扱わなければならないか、なぜ宇宙服のような防護服(Personal Protective Equipment/PPE)を着用しなければならないか、なぜBody Bagを使うのか、などについて時間をかけて遺族に説明した。1チームは1012人で構成され、女性の遺体を担当する女性メンバーも含まれた。


   Psychosocial support3ヵ国で40万人以上を対象)
エボラに感染しても生存した人やエボラで家族を失った人をもとより、各種のエボラ対応に関わったボランティアなどに対する心のケアを実施した。多くのボランティアたちは、「エボラ」と呼ばれながら地域住民から警戒・拒絶され、精神的な暴力を受けたり、元の職場への復帰を拒まれた。ある女性のボランティアは遺族から投石され、ナイフで傷害を負う被害にあうなど(一時期ギニアでは月10件のボランティアに対する傷害事件が発生)、外部者の介入に対する抵抗や拒絶は、エボラ対応の活動にとって最大の障壁となった。様々なケースに対する心のケアは、エボラが終息した今も重要度が高い。


3.今後の課題と将来への準備
エボラの発生をゼロに押さえ、ゼロを保持することを最大の目標としながらも、再発生に常に備えることが重要である。IFRCは、①Community-based surveillance(早期発見)、②Community health system – community engagement & social mobilization(地域社会との連携や保健教育に根ざした早期対応)、③Safe and dignified burials capacity(安全で尊厳ある埋葬システムの堅持)、④Emergency treatment centre capacity(緊急医療対応の堅持)を優先課題としている。

本日ご紹介したIFRCのエボラ対応の主役は、地元のボランティアたちである。心のケアや職場復帰、学業支援などボランティアたちのリハビリ支援を国連開発計画(UNDP)と進める側ら、今回のエボラ対応を通じて構築されたボランティアを軸とするcommunity health systemを堅持・強化することが極めて重要である。

人道ニーズが増大の一途の辿る今日、地元のボランティアが果たす役割が重要であることは言うまでもないが、人道機関や国際社会が彼らとどの様に向き合い、協働するかについての明確な規範がない。「人道憲章と人道対応に関する最低基準(The Sphere Project – Humanitarian Charter and Minimum Standards in Humanitarian Response )」においても、ボランティアに関する言及は殆どない。安全面での高いリスクに晒されながらも、エボラ対応や紛争地帯[2]での人道援助の最前線で活動するボランティアが享受すべき基本的な権利(例えば、安全に関する情報の入手、活動への意思決定権を持った主体的参加)を明確にするなど、ボランティアに対する説明責任の概念を構築することも、今後の重要な課題であると認識している。




[1] 近衞忠煇(このえ・ただてる)、2005年に日本赤十字社社長に就任。2009年、国際赤十字・赤新月社連盟(International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies/IFRC)の会長に選出され、現在二期目を務める。
[2] 紛争状態にあるシリアでは、過去5年間に約60人の赤新月ボランティアが人道支援の活動中に殺害された。

WHOでの勤務を終えて-これから国際機関での勤務を目指す皆様へ  

                  友川 幸 
WHO本部、非感染症病および精神衛生局  
非感染症予防部、ヘルスプロモーションチーム 




信州大学の教育学部に勤務しております、友川です。ジュネーブ滞在中は、JSAGが企画する懇親会や勉強会に参加させていただき、専門や組織を超えて、交流ができたことを大変感謝しております。以下では、WHOのコンサルタントとして行った業務の内容を紹介させていただくとともに、これから国際機関での勤務を目指す皆様へのメッセージを述べさせていただきます。
WHO会議で参加者とともに(左端が筆者)
私は、学校保健のコンサルタントとして、WHOの生活習慣病及び精神衛生の部局で1年間勤務しました。主な仕事としては、1)学校保健の推進のためのエビデンスの創出及びアドボカシー、2)学校保健に関する技術支援、そして、3WHOの地域・国事務所、本部内で学校保健に関わる部署、他の国連機関及び国際NGOとの連携強化に取り組みました。
1) 学校保健の推進のためのエビデンスの創出及びアドボカシーに関しては、2015年の11月に、WHOの南アジア地域事務所と協力しながら、8年ぶりとなるWHO学校保健専門家会議を企画、運営しました。この専門家会議では、アジア・アフリカを中心に世界の25の国々から、70名を超える学校保健の関係者(教育省及び保健省の職員、学術機関の研究者、国際NGO職員、国連機関職員等)が集まり、これまで行われてきた学校保健の実践の成果と課題を振り返り、今後の学校保健活動の推進に向けて議論をしました。私は、会議当日の運営をはじめ、事前準備として、専門家会議のテーマの選定や3日間を通した議事進行のたたき台案作り、テーマに沿った参加者の推薦等を担当しました。この会議に関わる取り組み以外では、アジア及びアフリカの国々で、WHOが他の国際機関等と共同で開発したモニタリングツールを用いて、学校で行われる栄養や運動に関する活動の実施状況についてフィールド調査を行いました。学校保健は、教育省及び保健省の双方にまたがる学際的な分野であり、長らく、活動の効果的な実施のための両省庁の連携の必要性が訴えられてきました。しかしながら、加盟国で行ったフィールド調査の結果、近年は、地方分権化が進んだことで自治省との連携が求められていたり、感染症から非感染症へと健康問題の焦点の移行が進んだり、また、小学校から中学校、そして高校の子ども達へと対象が拡大する中で、学校保健に関わる関連機関がより一層多様化・複雑化していることなどが明らかになってきました。現在、専門家会議での議論と加盟国で行ったフィールド調査の結果を基に、今後の学校保健の方向性を示す戦略文書の作成に取り組んでいます。
2)学校保健に関する技術支援としては、ケニア、バングラデシュ、ラオス、ネパールなどにおいて、学校保健の活動を担当する行政職員等が抱える現場の問題を改善するための助言等を行いました。例えば、ケニアやラオスでは、学校保健活動の実践に取り組む教員・行政官に対し、研修や教師用のマニュアル作成の支援を行いました。また、バングラデシュでは、学校保健活動に従事している日本人ボランティア(青年海外協力隊隊員)が作成した教材にコメントをする等の技術支援を行いました。
3WHOの地域・国事務所、本部内で学校保健に関わる部署、他の国連機関及び国際NGOとの連携強化に関しては、WHOの地域事務所や国事務所において学校保健を担当する職員に会って、実際にどのような活動をしていて、どのような課題があるのかを聞き取り、WHO本部が行うべき支援を明らかにしました。さらに、WHO本部内で学校保健に関わる他部署の職員と定期的な情報交換を行うネットワークの構築や、共同研究の実施、また、関連部署が行う学校保健関連の調査等に対して専門的な助言等を行いました。そして、ユニセフやユネスコ、世界銀行、国際NGO等において、学校保健に関わる関係者が情報共有のために開催する月例会議に出席し、共同で国際的な戦略文書を作成したり、各機関が作成する戦略文書等に対して専門的な助言を行う等の業務に取り組みました。
以上のような業務を通して、国際機関での勤務においては、a)何のために、誰のために働いているのかを意識すること、b) フィールドに赴き、現場のニーズと課題を知る経験を持つこと、c)自分の専門分野の重要性や活動の戦略を、専門分野以外の人と話す機会を持つこと、d)相手にとっても、自分にとっても望ましい、Win-Winなメカニズムを考えることが重要であると感じました。
バングラディシュでの学校調査
私の好きな言葉の一つに「理念・哲学なき行動(技術)は凶器であり、行動(技術)なき理念は無価値である」という言葉があります。これは、数々の名車を世界に輩出した本田技研工業の創始者、本田宗一郎氏の言葉です。国際機関での勤務を通して、改めて、何のために、そして誰のために働いているのかを考え意識し続けること、自分なりの哲学を持つことの大切さを実感しました。「何のために、誰のために」を考えていくためには、学校保健の実践現場で活動する行政官や教師、そして、子ども達とともに実践の現場に身を置き、一緒に見て、考えて、現場のニーズと課題を知る経験を持つことが極めて重要になります。現場にどっぷり浸かって、一緒に悩み、試行錯誤した経験の中で身に付けた現場に対する愛情が、1年間のWHOでの活動のモチベーションとなり、また、悩んだ時に戻れる原点になっていたと感じます。そして、自分が担当する分野の活動の重要性や活動戦略を、自分の専門分野以外の人に話す機会を持つことで、常に、自分が何をすべきか、何が強みになるのかを考えることができました。また、僅か1年の間でしたが、誰かと協働していくためには、相手の立場や役割を良く理解し、相手にとっても、自分にとっても望ましい、Win-Winなメカニズムを考えていくことが、うまく協働していくカギになるのではないかと感じました。
これから国際機関での勤務を目指す皆様、大志を抱いて、何事にも挑戦する気持ちを忘れないでください。いつか、世界のどこかで、ご一緒できる日を楽しみにしています。                                                                  初夏の信州より 友川幸

 

略歴: ともかわ さち 日本の教員養成系大学を卒業後、修士では、国際教育協力学を専攻。在学中に、JICA青年海外協力隊として、ニジェールで学校保健活動に従事。帰国後、博士では、保健学を専攻。在学中に、ラオス国立公衆衛生研究所へ留学。卒業後、総合地球学研究所研究員、ラオス国立大学の客員研究員を経て、2010年から、信州大学教育学部に勤務。在職中に、JICAの短期専門家で、ネパール、ケニア等の学校保健プロジェクトに従事。2015年から1年間、WHO本部の非感染症病および精神衛生局、非感染症予防部、ヘルスプロモーションチームで、学校保健に関するコンサルタントとして勤務