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第3回ジュネーブ・グローバル・ヘルス・フォーラムご報告


3GHF会合は、201671日(金)、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部にて行われました。

本年5月の伊勢志摩サミットでの保健アジェンダと、その柱の一つであるAMRをテーマに、以下の講師がプレゼンテーションを行い、特に人間の医療分野にとどまらず、分野横断的(ワン・ヘルス)アプローチが必要となるAMRについて、活発な議論を行いました。 

(1)「Global Health in Japanese Diplomacy
発表者:在ジュネーブ国際機関日本政府代表部 一等書記官 西澤栄晃氏

(2)「食物連鎖に由来する薬剤耐性(AMR)問題」

発表者:WHO食品安全・人獣共通感染症部 湊夕起氏

第2回ジュネーブ・グローバル・ヘルス・フォーラムご報告

第2回GHF会合は、2016年4月14日(木)、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部にて行われました。

今年の日本で開催されたG7サミットの議題にも含まれ、世界の注目を集めたPublic health
emergency(公衆衛生上の緊急事態)をテーマに、次のような素晴らしい講師を招いて、活発な質疑応答・議論がなされました。

(1)「Ebola CrisisにおけるIFRCの対応と将来への準備
発表者:IFRC(国際赤十字・赤新月社連盟)会長特別顧問 田中康夫氏

(2)「将来のPublic health emergencyに対して今どのような努力が必要か」
発表者:WHOパンデミックおよび流行感染症部 調整官 進藤奈邦子氏

勉強会の後は、Cafe du Soleilでスイス料理を食べながら、懇親会を行い、熱い議論や楽しい交流を楽しみました。

【GHF発表概要】Ebola CrisisにおけるIFRCの対応と将来への準備


IFRC(国際赤十字・赤新月社連盟)会長特別顧問 田中康夫


1.はじめに
私は国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)で会長特別顧問として国際赤十字の政策・戦略の策定や人道外交面での会長[1]の業務を補佐する任務に6年前から携わっている。本年2月に会長に同行してエボラの感染が流行したシェラレオネとギニアを訪問したので、これらの国々におけるIFRCのエボラ対応と今後の課題について報告したい。

エボラ・ウィルスは、1976年にコンゴ民主共和国(旧ザイール)で初めて確認され、当時318人が感染し、致死率は88%に及んだ。2014年の西アフリカ・エボラ出血熱の流行は、2013年にギニアで二歳児が感染したことに始まり、2014年の3月にギニアとリベリアで、5月にはシェラレオネでエボラの発生が報告された。最も感染が流行したこれら3ヵ国での感染者数と死亡者は、それぞれ計28,646件(2016331日)と計11,323人(同上)となっている。世界保健機関(WHO)は本年3月に国際保健規則(IHR)緊急委員会を開き、一昨年8月に出した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を解除した。しかしながら、過去3ヵ月間にエボラの再発生がそれぞれの国で確認されているため、引き続いての監視体制とcommunity health systemの堅持・強化が重要な鍵となっている。


2IFRCのエボラ対応
エボラの感染を抑えるうえで、地域住民との信頼や連携に根ざしたpublic health approachが優先課題であった。
IFRCは、20151月にEbola Strategic Frameworkを策定し、地域住民の教育、感染者の隔離、感染者と接触した人の追跡・モニタリング、エボラ死亡者の安全で尊厳ある埋葬を軸とした以下の5つの活動を展開した。

   Community engagement and beneficiary communication3ヵ国で830万人を対象)
地域住民の間では、「病院に行くとエボラを注射されたり、臓器売買のために手術される」などのデマが飛び交い、それを信じた感染者の家族が病院に押しかけるなど、初期の段階では住民のエボラに関する知識不足や不信が感染の拡大に拍車をかけた。そのため、地域の長老や宗教指導者を訪ね、エボラについての正しい知識の普及に努めたり、住民調査(KAP survey)を行なった。調査の結果、感染者との接触で感染するという知識を持っている人は20%に止まり、また、情報伝達手段としてラジオが効果的であることが分かった。


   Tracing and monitoring service3ヵ国で97,000人を対象)
感染者と接触があった人(疑を含む)を特定し、その後3週間にわたって感染兆候の有無、体温測定、筋肉痛、頭痛、のどの痛み、吐き気、下痢などの症状の有無を確認した。


   Clinical case management / Ebola treatment centres1,475人の入院患者を治療)
シェラレオネ(IFRC所管)とギニア(フランス赤十字所管)でそれぞれ2ヵ所の緊急仮設病院を開設し(シェラレオネでは100床と40床)、感染者の治療を行なった。ノルウェー、スペイン、カナダ、オーストラリアなど13ヵ国の赤十字社から常時30人ほどの医療要員が勤務した。残念ながら、これらの仮設病院に勤務するスタッフのうち、4人(車の運転手)がエボラに感染して死亡した。


   Safe and dignified burials 3ヵ国で57,000人の遺体を安全かつ尊厳をもって埋葬)
西アフリカの国々では亡くなった人の遺体を遺族が直接手で洗う風習があり、そのことが感染拡大の最大要因の一つとなった。そのため、遺体を安全に、かつ文化的風習を最大限に取り入れながら埋葬する活動を展開(シェラレオネでは全国の50%、ギニアでは100%)した。遺族の中にはそうした活動を拒絶する人が多くいたため、IFRCのチームの中にはbeneficiary communicatorがおり、なぜ遺体をそのように扱わなければならないか、なぜ宇宙服のような防護服(Personal Protective Equipment/PPE)を着用しなければならないか、なぜBody Bagを使うのか、などについて時間をかけて遺族に説明した。1チームは1012人で構成され、女性の遺体を担当する女性メンバーも含まれた。


   Psychosocial support3ヵ国で40万人以上を対象)
エボラに感染しても生存した人やエボラで家族を失った人をもとより、各種のエボラ対応に関わったボランティアなどに対する心のケアを実施した。多くのボランティアたちは、「エボラ」と呼ばれながら地域住民から警戒・拒絶され、精神的な暴力を受けたり、元の職場への復帰を拒まれた。ある女性のボランティアは遺族から投石され、ナイフで傷害を負う被害にあうなど(一時期ギニアでは月10件のボランティアに対する傷害事件が発生)、外部者の介入に対する抵抗や拒絶は、エボラ対応の活動にとって最大の障壁となった。様々なケースに対する心のケアは、エボラが終息した今も重要度が高い。


3.今後の課題と将来への準備
エボラの発生をゼロに押さえ、ゼロを保持することを最大の目標としながらも、再発生に常に備えることが重要である。IFRCは、①Community-based surveillance(早期発見)、②Community health system – community engagement & social mobilization(地域社会との連携や保健教育に根ざした早期対応)、③Safe and dignified burials capacity(安全で尊厳ある埋葬システムの堅持)、④Emergency treatment centre capacity(緊急医療対応の堅持)を優先課題としている。

本日ご紹介したIFRCのエボラ対応の主役は、地元のボランティアたちである。心のケアや職場復帰、学業支援などボランティアたちのリハビリ支援を国連開発計画(UNDP)と進める側ら、今回のエボラ対応を通じて構築されたボランティアを軸とするcommunity health systemを堅持・強化することが極めて重要である。

人道ニーズが増大の一途の辿る今日、地元のボランティアが果たす役割が重要であることは言うまでもないが、人道機関や国際社会が彼らとどの様に向き合い、協働するかについての明確な規範がない。「人道憲章と人道対応に関する最低基準(The Sphere Project – Humanitarian Charter and Minimum Standards in Humanitarian Response )」においても、ボランティアに関する言及は殆どない。安全面での高いリスクに晒されながらも、エボラ対応や紛争地帯[2]での人道援助の最前線で活動するボランティアが享受すべき基本的な権利(例えば、安全に関する情報の入手、活動への意思決定権を持った主体的参加)を明確にするなど、ボランティアに対する説明責任の概念を構築することも、今後の重要な課題であると認識している。




[1] 近衞忠煇(このえ・ただてる)、2005年に日本赤十字社社長に就任。2009年、国際赤十字・赤新月社連盟(International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies/IFRC)の会長に選出され、現在二期目を務める。
[2] 紛争状態にあるシリアでは、過去5年間に約60人の赤新月ボランティアが人道支援の活動中に殺害された。

第2回ジュネーブ・グローバル・ヘルス・フォーラムのご案内

JSAGの皆様へ
 
1GHFは好評でしたので、第2回は以下のとおり、今年のG7サミットのテーマにも含まれ、世界の注目を集めているPublic health emergency(公衆衛生上の緊急事態)をテーマに以下のとおり、意見交換と議論を進めたいと思います。
グローバルヘルスに専門性および関心のある日本人が対象です。
 
テーマ: Public health emergency
 
場所: 在ジュネーブ国際機関日本政府代表部
Permanent Mission of Japan to the International Organizations in Geneva 3,Chemin des Fins,1218 Grand-Saconnex, Genève Tel : 022.717.31.52 Fax : 022.717.37.20
 
日時: 2016414日(木)夜6時-7時半(その後、懇親会)
 
6時~620分        Ebola CrisisにおけるIFRCの対応と将来への準備」
                 発表者:IFRC(国際赤十字赤新月社連盟)会長特別顧問 田中康夫
620分~640    「将来のPublic health emergencyに対して今どのような努力が必要か」
 発表者:WHOパンデミックおよび流行感染症部 調整官 進藤奈邦子
640分~730  質問コメント議論 
645分~                      懇親会(Cafe du Soleil)―希望者のみ、費用は割り勘
 
お申込み: ご出席いただけます方は、以下のとおり、パスポートに記載されているローマ字表記の氏名、性別、所属機関(代表部に事前に参加者の登録をするために必要な情報)、懇親会の出席希望を明記の上、411日までに英語もしくはフランス語で代表部Ms Nathalie Mondain nathalie.mondain@gv.mofa.go.jp)及びMercedes Carnerero Rodriguezmercedes.carnerero@gv.mofa.go.jp)まで電子メールでご連絡ください
 
1. NameNom et Prenom
2. Organization and departmentOrganization et department
3. Contact informationinformations de contact
4. Post-meeting dinnerdîner après conference@ Cafe du Soleil  <Attend /  Not attend>  
 
 
なお、当日、代表部に入るための身分証明として、パスポート若しくはスイスの身分証明書を必ずお持ちください。セキュリティーのため、できるだけ時間厳守で、遅れる場合にはその旨を上記宛先までご連絡ください。また、代表部には駐車場がございませんので、公共交通機関のご利用をお願いいたします。

ジュネーブ・グローバルヘルス・フォーラム(GHF)設立及び第一回会合についてのご報告


 この度新たにジュネーブグローバルヘルスフォーラム(Geneva Global Health Forum:以下GHF)が設立され、201625日に第1回会合がジュネーブ国際機関日本政府代表部にて開催されました(GHF設立趣意書) 

ジュネーブにはWHO、UNAIDS、グローバルファンドなど、グローバルヘルスの潮流やスタンダードなどを作り、世界で保健医療プログラムを支援する多くの専門機関援助機関があります。そこには日本人のスタッフやコンサルタント、インターンも多く、日本から保健医療専門家の出張者も多く訪れます。

この地の利を活かして、グローバルヘルスに関する情報交換や議論をしてはどうか。それを日本に発信することで、日本国内でのグローバルヘルスの議論に貢献していけないか。さらに、これらを通じて、グローバルヘルス分野での日本人人材の育成にも寄与できないか。

 ジュネーブ国際機関日本政府代表部の長岡寛介公使と小職(グローバルファンド國井修)で昼食をしていた時にそんなことを話し合い、昨年末にWHO事務局長補に就任した井上氏にも声をかけ、この3人が世話人となって設立したのがGHFです。

 今年2016年は、日本が議長国としてG7伊勢志摩サミットを開催しますが、その主要議題のひとつとしてグローバルヘルスが取上げられる予定です。GHFでの議論が日本のグローバルヘルスの議論につながるとさらによいと思っています。

 第1回のGHF会合は長岡公使の司会で、小職からGHF設立の趣旨説明、集まった約20名の参加者からの自己紹介の後に、日本政府代表部の嘉治大使からご挨拶を頂きました。

今回の会合の話題提供者はWHO井上氏。「WHOをめぐる最近の動向と日本-執行理事会を終えて」と題して、過去15年間ほどのWHO執行理事会のガバナンスや議題関心の変化、さらにエボラ危機対処の教訓を踏まえた今後のWHOの方向性、WHOおよびグローバルヘルスにおける日本の役割について説明してもらいました。

 とても興味深い内容で、参加者はそれぞれの機関で専門性の高い仕事に就いていることもあり、多くの質問と意見が出され、活発な議論がなされました。こうした機関横断的なネットワークの立ち上げを待っていた、日本政府の方針等の説明の機会が生まれたことを歓迎する、などの意見もありました。


第2回GHFは、2月18-19日に東京でG7に関する保健専門家会合が開かれ、世話
人の井上氏と小職が参加するため、その内容も考慮しながら開催したいと思います。



(文責:グローバルファンド 國井 修)