国際協同組合デー(7月第一土曜日)

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ILO企業局協同組合部 知識管理専門官

堀内 聡子
7月第一土曜日は、国連が定めた国際協同組合デーです。

国際協同組合デーは、1923年に、国際協同組合同盟(International Cooperative Alliance, 以下ICA)が定めて今年で93回目となり、また国連が、ICA創立100年目にあたる1995年に、同日を国際デーとして認定してから、今年で22回目となります。この記事では、今年の国際協同組合デーを迎えるにあたり、ILOの協同組合開発を通じたディーセントワーク[i]促進に向けた取り組みと、現在の私の業務についてご紹介させていただきたいと思います。

協同組合は、個人あるいは事業者などが共通する目的のために自主的に集まり、その事業の利用を中心としながら、民主的な運営や管理を行なう営利を目的としない組織です。協同組合にはさまざまな種類があり、農林水産業、購買、金融、共済、雇用創出、旅行、住宅、福祉・医療など、暮らしの中で、あらゆる分野において事業を営んでいます。

ICAおよびILOは、「協同組合とは、共同で所有し民主的に管理する事業体を通じ、共通の経済的・社会的・文化的なニーズと願いを満たすために自発的に手を結んだ人々の自治的な組織である」と定義しています。

株式会社やNPOとの主な違いとして、組合員が事業の利用者であると同時に出資者・経営参画者でもあること、利潤の追求・株主への配当を目的としないこと、そして(出資金の金額に関わらず)一人一票の原則とすることなどが挙げられます。

今日、協同組合は世界で2億5000万人に対し雇用を創出しています。

ILOは、2002年総会に採択した第193号協同組合の振興に関する勧告にて、雇用創出、資源動員、投資創出、経済寄与における協同組合の重要性、協同組合が人々の経済・社会開発への参加を推進すること、グローバル化が協同組合に新しい圧力、問題、課題、機会をもたらしたことを認識し、協同組合を促進する措置を呼びかけています。ILO設立1919年の翌年に、現在の協同組合支援部署(現在の協同組合部)を設置し、政策対話、法整備支援、能力開発、調査研究活動に取り組んでいます。

近年の分野として、協同組合を通じたインフォーマルエコノミーからフォーマルエコノミーへの移行や、移民家事労働者による協同組合、協同組合とケアエコノミー、そして難民危機における協同組合といったテーマに取り組んでいます。

昨年12月には、タンザニア・ダルエスサラームにて、過去6年間に日本に訪れた研修参加者が集まり、帰国後各国で実施された事業や活動におよび今日の各国の協同組合の課題について論議を行いました。

ILO日本生活協同組合連合会(日本生協連)とともに2010年より毎年、アフリカ地域の協同組合の幹部職員を招聘し、日本の各セクターの協同組合(生協、農協、労働者協同組合、労働金庫、全労済、大学生協、医療生協など医療生協)の10日間の視察研修を開催しています。これまでに8か国から27名が来日しています。このような背景の元、ILOは日本生協連と人事交流に関するMOUを締結し、2014年よりILO協同組合部に出向し、業務をさせていただく機会をいただきました。

現在、ILOは技術協力プロジェクトを視野に入れ、アフリカの協同組合と連携可能な分野について検討を行っています。また、2016年も引き続き視察研修の実施が予定されています。

2016年国際協同組合デーに向けたILO事務総長からのメッセージ
Message from Director General of the ILO for the International Day of Cooperatives 2016




[i] 働きがいのある人間らしい仕事。ILOの活動の主目標。

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