国際機関日本人職員増強のための取組

0 件のコメント

39日に開催されたJSAG総会において,在ジュネーブ国際機関日本政府代表部の紅谷書記官に日本政府の国際機関における日本人職員の現状や増強施策についてお話を伺いました。紅谷書記官は2006年に人事院に入庁し,20154月から在ジュネーブ国際機関日本政府代表部で主に国際機関の日本人職員増強に関する施策を担当しています。

○ 国際機関に勤務する日本人職員の現状について教えて下さい。

現在,国連関係機関で勤務する専門職以上の日本人職員は約800名ですが,他の主要国に比べるとまだまだ少ないのが現状です。日本政府は,国連関係機関で働く日本人を2025年までに1000人に引き上げるという目標を掲げており,一人でも多くの日本人が国際機関に就職し,そしてより高い役職で活躍できるよう,その支援を行っています。
ジュネーブには国連をはじめ様々な国際機関の本部や事務所が置かれており,2018年3月現在,約150名のプロフェッショナル職員が勤務しています。また,13名のJPOがジュネーブで勤務しています。(JPOについての詳細は後述)

○ 日本人職員を増強するため,日本政府はどのような取り組みを行っていますか。

国際機関への就職を希望する若い方への就職支援施策として,JPOJunior Professional Officer)派遣制度があります。外務省では,将来的に国際機関で正規職員として勤務することを志望する35歳以下の若手日本人を対象に,日本政府が派遣にかかる経費を負担して一定期間(原則2年間),各国際機関に派遣し,国際機関の正規職員となるために必要な知識や経験を積む機会を提供し,派遣期間終了後も引き続き正規職員として派遣先機関や他の国際機関に採用されることを目的として,同制度を実施しています。
これまで多くの日本人がJPOを経て国際機関の正規職員となっており,近年では,派遣者数を増やすとともに,その後の定着率を高めるべく,派遣先の事務所や部署に関する情報収集や派遣後のサポートなども強化しています。
2018年度(平成30年度)のJPO派遣候補者選考試験(JPO試験)については,315日に募集要項が公表されました。応募受付期間は4月1日(日)から5月7日(月)までとなっています。
また,幹部職員を増やすため,各機関における幹部ポストの空席情報の収集や就職希望者への情報提供,中堅レベルの職員を派遣するための取組を行っており,2017年度には,「国際機関幹部候補職員選考試験」を実施しました。
さらに,保健関係では2017年に,国立国際医療研究センターにグローバルヘルス人材戦略センターが設置され,国際保健人材の発掘,候補者への情報提供,セミナーの実施などの事業を行っています。

○ 最近のジュネーブ代表部の取組について教えてください。

ジュネーブ代表部でも各機関の人事や空席等の情報収集を強化するとともに,日本人職員の動向を把握することに努めています。
また,国際機関への就職希望者を増やし,その具体的な就職方法や,JPO派遣制度をはじめとする外務省の実施する支援方策など,国際機関への就職に役立つ情報を提供することを目的に,国際機関への就職方法に関するガイダンスや,実際に国際機関で働いている日本人職員の方との意見交換会などのイベントを開催しています。

○ 具体的にはどのようなガイダンスやイベントを行っているのでしょうか

201712月には,ジュネーブ代表部において,ジュネーブ近郊の大学に在籍する留学生やインターンの方を主な対象とし,国際機関就職説明会を実施しました。説明会には,国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)本部で勤務されている白戸純シニアリーガルオフィサーにお越しいただき,UNHCRの業務内容,職員数等のデータ,JPOから正規職員となった経緯やこれまでのキャリア,現在の担当業務などについてお話いただきました。また,説明会の後にはJSAG会員の皆様との意見交換会を開催し, 8の国際機関から15名の日本人職員にご参加いただき,それぞれの国際機関での仕事内容や,就職方法,キャリアの積み方などについて活発な意見交換が行われました。
20182月には,初めての試みとして,フランス・リヨンに出張し,リヨン近郊の日本人留学生の方や国際機関への就職に関心のある方を対象に,国際機関就職ガイダンスを開催しました。同ガイダンスには,国際移住機関(IOM)本部事務局長室で勤務されている望月大平上級連絡調整官にお越しいただき,お話やアドバイスをいただきました。
 さらに,3月には当代表部において,国際機関のインターンへの応募や,JPO試験への応募を検討している方を対象に,国際機関の応募書類の書き方に関するセミナーを開催します。国際機関への就職やキャリア形成には空席に応募することが常に求められるため,採用担当者の目に止まる履歴書や,簡潔で要点を押さえたカバーレターを書くスキルが重要となっています。講師にILO人事局の伊藤美保子採用担当官をお迎えし,採用側から見た効果的な履歴書やカバーレターの書き方や,応募の際に注意すべき点等についてお話いただきます。
ジュネーブ代表部では,今後も国際機関志望者への情報提供の機会を積極的に設け,候補者の発掘に努めていきたいと考えておりますので,引き続きJSAGの皆様にもご協力をいただければ幸いです。

(注)インタビューの内容については、個人的な見解であり,所属組織の公式見解ではない旨、ご了承ください。





0 件のコメント :

コメントを投稿