国際機関邦人職員インタビュー:UNICEF 伏見暁洋さん (後編)

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今回は、前回に引き続きUNICEFジュネーブ事務所で民間資金調達・パートナーシップ部門のプログラムマネジャーとしてご活躍された伏見暁洋さんのお話の後編をお送りいたします。

50歳を越えているような人たちも博士号を取りに行く

先日パートタイムの博士課程を終えたということですが、博士課程を初めたきっかけを教えてください。

ガーナでのJPOが終わってケニアの地域事務所に移ったのですが、そこでの仕事というのは域内のカントリーオフィスの教育セクションと教育省などのパートナーをサポートする事で、アドバイザーとしての役割を果たす事が求められます。ですからそこの職員たちというのはみんなP4P5レベルで、海千山千の強者たちです。そこにP3としてぽっと入ってとても大変でした。その時に初めて全世界でのポストをめぐった競争を目の当たりにしたんですが、多くの人がポストを獲得するために博士号をとりに行くんですよね。もう20-30年くらい教育分野で働いていて50歳を越えているようなベテランの同僚・先輩たちも、退職までの残り10年間を生きる残るために博士号をとりに行っていました。やっぱり博士号をとることで、リサーチに関する基礎ができるし、アカデミックな人たち・研究者ともちゃんと話ができるようになりますしね。あとは根性がつきますね ()

-仕事をしながら博士課程の勉強をするのに上司の理解はどうやって得られたんですか。
パートタイムの博士課程では、最初の三年間は毎年夏に一ヶ月間、僕の場合は英国でしたが、現地に行く必要があって、最初の年には休暇を取っていきました。そうしたら休みなのに上司から仕事の電話が毎日のようにあったので、オフィスに帰ってから休みの半分を返してもらいました ()それからは毎年同じように半分休み、半分は勤務状態のままで行かせてもらいました。今まで一貫して運がよくキャリアパスをサポートしてくれるよい上司たちに恵まれたと思います。


-UNICEFで働いていくには博士号が必要なんでしょうか。
教育分野に関しては、仕事をする上で必須条件ではないものの、実際は持っている人がかなり多いと思います。私が以前いた東部・南部アフリカでは、地域事務所のアドバイザーをはじめ、各国事務所の教育セクションチーフレベルは、大半が持っていたという印象があります。政府・教育省のカウンターパートも、欧米などで博士号を取得した人が多いですし、実際の仕事の上でも、既存の研究や各分野の研究者に関する知識、データの読み方、リサーチの方法論、エビデンスの使い方など、博士課程で身につけることを応用する場面が多々あると思います。そういった意味で、学歴ばかりが大事というわけではありませんが、教育の専門家としてUNICEFに残っていくためには、博士号があったほうがいいと個人的には思いますね。


-仕事との両立は大変でしたか。
めちゃくちゃ大変でしたね。博士課程を初めて3年半くらいたって、ケニアでデータをとってからジュネーブに異動になったんですが、こちらへ来て最初の一年間は大学を休学しました。子どもたちが生まれて、新しい仕事も忙しく、そのまま続けるのは無理でしたね。それでも博士課程は楽しかったです。仕事をしてきてからアカデミックな本を読むと、今までやってきたことと理論がリンクします。その点では修士課程が終わってすぐに博士課程に進むより、一度仕事の経験を積んでからのほうがいいと思いますね。でもそうすると仕事、家庭などのタイミングを考えなくちゃいけなくなってくるんでそれはそれで難しいんですが。結局6年半かかりましたが、ようやく博士課程を終える事ができて本当に嬉しいです。これはジュネーブに来てよかったことの一つですね。

―他にジュネーブでよかったことはありますか
やっぱりJSAG(ジュネーブ国際機関日本人職員会)の活動があるのがよかったですね。こうやって分野が全く違う色々な国際機関の職員の人たちと交流できる機会は他の国ではあまりないですよね。JSAGを通じていろんな人と知り合いになることができてよかったです。

いつか日本に帰って校長先生をやってみたい

-伏見さんにとって教育でこれは大事だという事を教えてください。
僕の独断ですが、基礎教育レベルでは校長先生のリーダーシップがとても大事だと思います。仕事でいろんな学校を見て、博士号のリサーチでも学校経営・評価などについて調べましたが、校長先生のリーダーシップ、ビジョン、マネージメントが学校の組織文化や雰囲気を変えますし、先生や学生のやる気、保護者やコミュニティとの関係など、全てに影響を与えます。実は、私自身もいつか日本で校長先生をやってみたいと思っています。普通の公立学校であまりリソースが無い中で、小さい改革みたいなものを積み重ねて、できるだけの事をやってみたいですね。この新しい夢にいつ挑戦するかを考えていますが、まずはバンコクでの次の仕事を満喫したいと思っています。
JSAG幹事と共に(右から二番目が伏見さん)















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